先日、Auditionの勉強本『「Adobe Audition」ではじめる音声編集』を読んでいてで出会ったのが
ドップラーシフター
というエフェクトです。
このエフェクトはズバリ、
ドップラー現象の効果を音声ファイルに付加できるもの。
「ドップラー現象」とはご存じの通り、音源が移動するとピッチが変化する科学現象です。
音源がリスナーに近づいてくると、音の波長が圧縮され、リスナーからは高い音に聞こえます。
逆に、音源が遠ざかると、波長が大きくなり、それに伴い、音は低く聞こえるのです。
ドップラー現象の身近な例としては救急車の音。
近づいてくるときは高いですが、過ぎた後は急に低くなるように感じ取れます。
そんな超身近なドップラー現象もバッチこい。
音声編集ソフトAuditionならば、実際にドップラーしてなくても、ドップラー現象の音を作り出せるのです。
Auditionのドップラーシフトの使い方
Auditionでドップラーさせたい音声ファイルを開き、上のメニューから
エフェクト>スペシャル>ドップラーシフター
へ進みましょう。
すると、以下の専用ウィンドウが登場します。

パスタイプを設定する
こちらは音源の進み方について。
選択肢は2つで、
- 直線軌道
- 円軌道
です。

お好みで選んでみてください。
中央にはグラフがありますが、このグラフへの理解がドップラーシフターと仲良くなるための第一歩。
ずばり「X軸」と「Y軸」の交点は音源を聞き取る「リスナーの位置」を表わしています。
一方、その近くを横切る「矢印」は「音源が移動する道筋」を意味し、矢印の始まりが音源の「開始点」。

そして、音源の速度を上げるほど矢印の長さは変化するはずです。
直線の設定方法
まずは直線の方法から。
「直線」を選んだ場合、次の5つのプロパティをいじっていきます。
- 開始距離
- 速度
- 進入角度
- 前側通過位置
- 右側通過位置
ですね。

それぞれの意味は以下の表のようになっています。
設定項目 意味 開始距離 エフェクトの仮想的な開始点をメートル単位で設定 速度 エフェクトの仮想的な移動速度をメートル/秒単位で定義 進入角度 エフェクトの出現位置の方向を度単位で設定 前側通過位置 エフェクトがリスナーの前を通過しているような効果を作る場合のリスナーとの距離をメートル単位で指定 右側通過位置 エフェクトがリスナーの右を通過しているような効果を作る場合のリスナーとの距離をメートル単位で指定
つまりは音源が「どこから」「どうやって」「どのくらいのスピードで」移動するかを細かく設定できるんです。
円の設定方法
パスが「円」の場合は設定項目が異なりまして、次のものを設定していきます。

設定項目 意味 開始距離 エフェクトの円のサイズをメートル単位で設定 速度 エフェクトの仮想的な移動速度をメートル/秒単位で定義 開始角度 エフェクトの仮想的な開始アングルを度単位で設定 前側通過位置 音源の中心をリスナーの前方どれくらいの距離に置くかをメートル単位で指定 右側通過位置 音源の中心をリスナーの右方どれくらいの距離に置くかをメートル単位で指定
つまりは、どれくらいの絵を描いて、どこどの位置にある、どれぐらいの大きさのこの亜鉛を描いて音源を移動させていくかということを決められるんです
プリセットも使える
はい、以上です。
ドップラーシフトでは「音源の動き方」を細かく設定できますが、その細かさがゆえ、初心者はどこをどうやって設定すれば、お望みのドップラー現象が得られるかわかりません。
そこでおすすめなのが「プリセットを活用する方法」です。
一番上のプリセットタブには次のプリセットが標準装備されています。
プリセットを選ぶだけで、自動的に上記の設定項目を定めてくれます。
細かい設定値を自分で考える必要はありません。
実際にドップラー現象を作ってみた
さて、そんなこんなで、実際にAuditionでドップラー現象を作ってみました。
音源は「自分の声で吹き込んだ救急車の音」。
この超人工的な救急車音にドップラーシフターをかけてみたのです。
まずは直線、

円、

そしてプリセットの救急車、
メリーゴーランド、
台風の目。
うん、はい。
なかなか現実世界のドップラーに近づいていますね。
Auditionではこのように、ドップラー現象を再現できる隠れ機能もございます。
収録した音声をより現実世界に近づけたい、とお望みの方Auditionのドップラーシフター、ぜひご活用ください。
それでは!
Ken
【参考記事】
動画制作ノウハウを発信します。
コメントを残す