先日『売り上げ・集客に繋がる 動画マーケティング』という本を読んだ時、
Premiere Proでコンプレッサーをかける方法
が紹介されていました。
売り上げ・集客に繋がる 動画マーケティング トーク術&撮影・制作テクニック
「コンプレッサー」とは、
ある周波数領域に属する音の大きさを調整できる機能です。
例えば、複数の音を同時に収録した場合、男性の低い声が聞こえづらい場合があるかもしれません。
そんな時にコンプレッサーを使うと、
低い周波数の男性の声を大きくし、女性と男性の声を同じぐらいの効きやすさに調整することが可能なのです。
Premiere Proでは何と「マルチバンドコンプレッサー(Multiband Compressor)」という標準エフェクトが装備されています。
今日はこちらのエフェクトの使い方を紹介しますね。
Premiere Proマルチバンドコンプレッサーの使い方
コンプレッサーをかけたいならば次のステップを踏んでみましょう。
エフェクトを探す
まずはエフェクトを探します。
Premiere Proのエフェクトウインドウから「multi」と検索して、オーディオエフェクトの中にある「Multiband Compressor」を探します。
エフェクトを適用する
そしたら、エフェクトをドラッグし、コンプレッサーをかけたいオーディオクリップでリリース。
たったこれだけで、オーディオクリップにコンプレッサーをかける事に成功しました。
コンプレッサーの微調整
さて、これだけでも、デフォルトのプリセットでコンプレッサーをかけることに成功しています。
が、しかしやはり、
オーディオクリップの内容によって、コンプレッサー具合を調整していきたいですよね。
Premiere Proのマルチバンドコンプレッサーでは、そういった調整も可能です。
クリップを選択した状態で、エフェクトコントロールパネルを見ましょう。

そこに、
Multiband Compressor
がという項目があるでしょう。そこの「カスタムステップ」というプロパティの「編集」をクリックすると、マルチバンドコンプレッサー専用ウインドーが立ち上がります。
正直、このウインドウズには項目がありすぎて、初見の時点で「終わった」と思っていました。

目がグワグワしたのは、僕だけではないはず。
試しにアドビ公式ページを参照すると、次の説明が書いてありました。
マルチバンドコンプレッサーエフェクトを使用すると、4 種類の周波数バンドを個別に圧縮できます。各周波数バンドには通常、ユニークなダイナミックコンテンツが含まれているので、マルチバンド圧縮はオーディオのマスタリングに適したツールです。
- クロスオーバー:各バンドの幅を決めるクロスオーバー周波数を設定します。特定の「低」「中」および「高」周波数を入力するか、グラフの上のクロスオーバーマーカーをドラッグします。
- ソロボタン:特定の周波数バンドを聞くことができます。一度に 1 つのソロボタンを有効にしてバンドを分離して聞くか、複数のボタンを有効にして 2 つ以上のバンドを一緒に聞きます。
- バイパスボタン:バンドを処理しないで通過するように個々のバンドをバイパスします。
- しきい値:圧縮が開始される入力レベルを設定します。設定可能な値の範囲は -60 ~ 0 dB です。最適な設定はオーディオのコンテンツと音楽のスタイルによって異なります。極端なピークのみを圧縮し、ダイナミックレンジを比較的広く保つには、しきい値をピーク入力レベルの 5 dB 下方に設定してみてください。オーディオを高度に圧縮してダイナミックレンジを大幅に減少させるには、ピーク入力レベルの 15 dB 下方に設定してみてください。
- ゲイン:圧縮後に、振幅をブーストまたはカットします。設定可能な値の範囲は -18 db ~ +18 dB です。0 はユニティゲインです。
- 比率:圧縮比を 1:1 ~ 30:1 の間で設定します。例えば、3.0 に設定すると、圧縮しきい値より 3 dB 増加するごとに 1 dB を出力します。通常の設定範囲は 2.0 ~ 5.0 です。設定値を大きくすると、ポップミュージックでよく耳にする圧縮された音になります。
- アタック:オーディオがしきい値を超えたときに圧縮を適用するまでの時間を指定します。設定可能な値の範囲は 0 ~ 500 ミリ秒です。デフォルトは 10 ミリ秒で、広範囲にわたるオーディオに適しています。この設定を短くすると、打楽器のような音がすばやく瞬間的なオーディオには適していますが、そのような音が少ないオーディオの場合は不自然に聞こえます。
- リリース:オーディオがしきい値を下回ったときに圧縮を停止するまでの時間を指定します。設定可能な値の範囲は 0 ~ 5000 ミリ秒です。デフォルトは 100 ミリ秒で、広範囲にわたるオーディオに適しています。打楽器のような音がすばやく瞬間的なオーディオには設定を短くし、そのような音が少ないオーディオには設定を長くしてください。
- 出力ゲイン:圧縮後に、全体的な出力レベルをブーストまたはカットします。設定可能な値の範囲は -18 db ~ +18 dB です。0 はユニティゲインです。ピークインジケーターおよびクリッピングインジケーターをリセットするには、このメーターをダブルクリックします。
- ゲイン:圧縮後に、振幅をブーストまたはカットします。設定可能な値の範囲は -18 db ~ +18 dB です。0 はユニティゲインです。
- リミッター:信号パスの最後に、出力ゲインの後にリミッティングを適用して全体のレベルを最適化します。しきい値、アタック、およびリリース設定には、類似のバンド特有の設定よりも穏当な値を指定します。続いてマージン設定を、0 dBFS に相対的な上限値として指定します。
オプション
- 入力スペクトル:出力信号でなく入力信号の周波数スペクトルをマルチバンドグラフに表示します。各バンドに適用されている圧縮量をすばやく見るには、このオプションのオンとオフを切り替えます。
- 低歪高精度リミッター:現在のマージン設定で、ハードリミッティングをすぐに適用します。(低速のソフトリミッティングを適用するには、このオプションの選択を解除します。サウンドの圧縮率は低くなりますが、マージン設定を超える可能性があります)。注意:低歪高精度リミッターの最大アタックタイムは 5 ms です。
- リンクバンドコントロール:バンド間の相対的な差異を保持しながら、すべてのバンドに対して圧縮設定を一括で調整します。
なるほど。
まず4つの周波数バンドに分けて、音量を調整できるようになっていて、その周波数の境界は「クロスオーバー」で調整。

左から順番にそれぞれの周波数領域で、
- しきい値
- ゲイン
- 比率
- アタック
- リリース
という5項目を調整できます。

これでターゲットとして指定した周波数領域の音声を細かく調整できます。
右側の「リミッター」では、これら4つの周波数領域を全体として見た時、指定したレベルで最適化できるのです(抑制できる)。

そして、オプションも用意されていて、次の設定項目があります。
加えて、
- S
- B
というコマンドも用意されています。

Sは「ソロボタン」で選んだ周波数領域のみを再生。逆にBは「バイバス」を意味し、その周波数領域の音をオフにします。コンプレッサーの効果を検証したい場合に活用するといいでしょう。
いやー、すごいです。素晴らしいっす。
項目がありすぎて、とてもじゃないですが、音響の初心者にとっては扱いづらいです。
そこで初心者におすすめなのが、プリセットを活用する方法です。
Multiband Compressorには、
(デフォルト)
のプリセットにプラスして、以下の18のプリセットが公開されています。
- おもちゃ
- インターネット配信
- インディーローファイ
- クラシックマスター
- スネアチャンク
- テレビ放送
- トランシーバー
- ドラム
- バスの強化
- ヒスリダクション
- フルリセット
- ヘビーギター
- ボーカルを上げる
- ポップマスター
- 低域強調
- 歯擦音除去
- 耳障りな音の消去
- 高域強調

それぞれのプリセットには、それぞれ固有の値が記録されていて、利用者としては、その18のプリセットから選ぶだけでいいのです。
「適切に調整され済み」のコンプレッサーを、細かい値を自分で考えずとも使えます。
例えば、インターネット配信、

テレビ放送、

トランシーバー、

おもちゃ。

上記のように、編集している動画の種類によって、音の大きさを周波数ごとにコントロールできることに加え、トランシーバーやおもちゃのように1つの表現方法として、Multiband Compressorを活用できる、と気づいたのです。
ちなみに先ほど紹介した『売り上げ・集客に繋がる 動画マーケティング』では、
こもった音をはっきりさせるために「高域強調」というプリセットを使うと良い
と紹介されていました。
なるほど、声がこもる出演者がいたら、すかさずコンプレッサーをかけて音質を調整していきましょう。
いやー音の世界深すぎますね。
ここ数日、Premiere Proで「音を整える技術」に出会い始め、動画編集において音が重要で、しかも嬉しいこtに音の世界が深すぎるとわかってきました。
これらの経験を通し、音の世界に興味が出てきましたので、このブログでも音の学びをアウトプットしていきたいと思ったのでした。
それでは、良いコンプレッサーを。
Ken
【参考文献】
売り上げ・集客に繋がる 動画マーケティング トーク術&撮影・制作テクニック
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