カメラ片手に動画撮影しましたが、やはり「手ぶれ」が気になります。

わたしたちは生きている人間でもあるので、三脚のようにカメラを完璧に固定しての撮影は不可能に近いです。
手でカメラを持つ限り、手ぶれは避けられないものでしょう。
ジンバルや三脚で手ぶれをなくすことは可能ですが、その一方で、
「手ぶれ」は撮影者の存在を視聴者に感じさせる大切な要素でもあります。
必ずしも「手ぶれがない動画が良い」とは限らないのが映像表現の深いところです。
ただ、動画編集の段階で、意図せず生じた手ぶれをなくしたり、自分が狙った通りのブレ具合に調整できたらいいなぁと思ってしまいます。
実はAdobeの動画編集ソフトPremiere Proには、標準装備で「手ぶれ補正機能」が備わっています。
その名も、
ワープスタビライザー
というエフェクトです。
Premiere Proのワープスタビライザーの使い方
ワープスタビライザーの使い方はこんな感じ。
エフェクトを探す
まずはワープスタビライザーのエフェクトを探しましょう。
エフェクトウインドウの検索窓で「スタビ」と検索してやれば出てくるはず。

エフェクトを適用
続いで、発見したワープスタビライザーのエフェクトをドラッグし、手ぶれを補正したい映像クリップにリリース。

すると、
バックグラウンドで分析中
と出て、

しばらくすると
スタビライズしています
と表記が変わり、

やがて消失します。
この時点で、手ぶれ補正が完了したことになります。
すると、どうでしょうか?
エフェクトをデフォルトの状態で適用した「たった2ステップ」だけで、動画の手ぶれを補正できたんです。
揺れ幅が小さくなり視聴ストレスが減ったことが素人目から見ても確認できます。
ワープスタビライザーの細かい設定
以上、すでにPremiere Proで手ぶれ補正は完了していますが、まだまだ終わらないのがワープスタビライザーのすごいところ。
真骨頂を発揮するのはここから。
エフェクトを適用した動画クリップを選択した状態で、エフェクトコントロールパネルをみましょう。
「ワプスタビライザー」の項目が追加されていて、次の値をいじれます。
スタビライズ
安定させるを意味する動詞。つまりは、
どれくらい手ぶれを取っ払って動画を安定させるのか
を決定付ける項目です。

スタビライズ内の設定項目は次の4つ。
結果
「結果」では
- 滑らかなモーション
- モーションなし
の2つから選べます。
1つ目の「滑らかなモーション」では手ぶれを完全になくすのではなく、ぶれを残したままぶれ具合を減らすエフェクトをかけられます。
一方、後者の「モーションなし」を設定すると、完全にブレを無くせます。
まるで三脚でカメラを固定したかのような映像に仕上げられますね。
こちらは動画の用途によって切り替えてみてください。
滑らかさ
そして、先程「結果」を「滑らかなモーション」に設定した場合、ぶれを残す度合いを決めましょう。
「滑らかさ」が高いほどブレは少なくなり、逆に低いほどブレは大きくなります。

0から1000パーセントまで自由に選べまして、デフォルトは50%で設定されています。
補間方法
これはズバリ、手ぶれを補正する方法ですね。

具体的に動画の何を補正するのか?という補正対象を決めます。
選択肢は次の4つ。
位置 位置データのみをもとに補正。 位置、スケール、回転 位置、スケール、回転のデータをもとに補正。トラックする領域が十分にない場合は、ワープスタビライザーが位置を選びます。 遠近法 フレーム全体が、コーナーピンされているような状態にする補正方法。トラックする領域が十分にない場合、ワープスタビライザーによって前の種類である「位置、スケール、回転」が選択されます。 サブスペースワープ フレームのさまざまな場所を歪ませることで、フレーム全体を安定させる方法。トラックする領域が十分にない場合、ワープスタビライザーによって前のタイプ(遠近法)が選択されます。
どれを選ぶかによって、補正動画のスケール率は異なってきます。
デフォルトでは「サブスワーブ」なので、お好みのものに変えちゃってください。
スケールを保持
ここにチェックを入れると、動画のスケールを変えずに補正できます。

寸法を変えてはいけない時、活用するといいでしょう。
境界線
手ぶれ補正した動画の境界を決定していきます。

ワープスタビライザーでは、手ぶれを軽減するために揺れている部分をカットし、手ぶれがないように見せています。
つまり、ワープスタビライザーをかけると「カットされた部分」と「カットされなかった部分」の境界が問題になってくるわけです。
さて、この境界線の設定項目を1つ1つ見ていきましょう。
フレーム
フレームには
- スタビライズのみ
- スタビライズ、切り抜き
- スタビライズ、切り抜き、自動スケール
- スタビライズ、エッジを合成する
の4パターン用意されています。

まず1つ目の「スタビライズのみ」を選択すると、境界を合成せず、ただ手ぶれ補正をするだけ。
動画の境界線がグニグニと動いてしまいます。

次の「切り抜き」を選択すると、動画サイズを小さくすることで、境界は「黒枠」で囲まれます。

次の「自動スケール」では、小さくなった分をごまかすため、小さくなった分だけ動画の絵を大きくする方法です。

最後の「エッジを合成する」は、動画の絵を拡大せず、黒くなった境界線を黒にしません。

周辺の動画データから上手く合成して、あたかもエッチが切り抜かれていないかのように自動で合成してくれる機能です。
このようにどの方法を選ぶかで、動画の拡大率は異なります。
その下にある「自動スケール」という項目を見て、どれくらい動画が拡大して手ぶれ補正しているのかチェックするといいでしょう。
例えば「108.4パーセント」ならばデフォルトから8.4パーセント分だけ拡大されて手ぶれ補正されています。
最後の「追加スケール」は、自分で動画のサイズを拡大する時に用います。

「自動スケールの拡大率」に不満ならばここで大きさを調整すると良いでしょう。
詳細
さて、まだまだ終わりません。最後に「詳細」タブが用意されています。

面倒くさいのでスルーしたいところですが、後世のためにここも掘り下げておきましょう。
ここでは境界線の「フレーム」で何を選んだかによって異なります。
「スタビライズ、切り抜き」「スタビライズ、切り抜き、自動スケール」を選択したら「切り抜きの縮小」が出てきます。

こちらは補正のためにどれくらいの切り抜きを施すか、を決める項目。
ゼロから百パーセントの間で自由に決められ、デフォルトでは50パーセント。
補間方法に「サブスペースワープ」を指定した方は「ローリングシャッター」という項目も動かせます。

こちらは何かというと、手ぶれを補正した時に生じた波紋現象(リップル)をどのように補正するかを決めます。
デフォルトでは「自動」になっていますが、自動では物足りない時は、拡張で「波紋の状態を合成」して目立たないように編集できます。
フレームに「エッジを合成する」を選ぶと、次の項目を決められます。
- 合成入力時間
- 合成ぼかし
- 合成切り抜き

「合成入力時間」はエッジを合成する際に活用するデータをどこから引っ張ってくるか?です。現在時間のタイムラインの前後何秒のデータから合成をするかを決めるんです。
この秒数が大きいほど、計算に使うデータが増えて処理は重くなります。
次の「合成ぼかし」は合成したエッジをぼかす度合いですね。
大きいほど境界線はぼやけます。

最後の「合成切り抜き」は、合成したエッジの上下左右の4方向に、どれだけ合成せずにえぐるか、を決めます。
例えば、「左」を「20」にした場合、左サイドの境界線は20だけ黒くえぐられます。

境界線を見せたくないなら、全てゼロでいいでしょうね。
Premiere Proのワープスタビライザーはパンドラの箱
いやー以上です。
初めてワープスタビライザーのエフェクトコントロールパネルを開いてしまった時は固まりました。
「こ、これ全部解説するのかよ・・・・」
と逃げたくなったのを認めましょう。
この記事を執筆するにあたって、すべての項目に向き合い、そのことで自身がワープスタビライザーの手ぶれ補正機能を使えるようになったのは大きな収穫でした。
カメラで動画を撮影する時は、Premiere Proのワープスタビライザーの存在も頭に入れ、
「多少の手ぶれならばPremiere Proがフォローしてくれる」
と思って、ドンドンガンガン撮影していきましょう。
それでは!
Ken
【参考記事】
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